『戦場のピアニスト』は、今ある日常がものすごく尊いものだと教えてくれる

戦場のピアニスト(字幕版)

 

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この映画は、ユダヤポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験をもとに作られた映画です。シュピルマンは、ナチスドイツによるユダヤ人迫害の時代を、奇跡的に生きのびた人です。

ナチスドイツがユダヤ人に対してなにをしたかは歴史の授業で知っている人は多いでしょう。しかし、教科書やネットに出てくる情報だけではわからない、あの時代に行われていた真実をこの映画は教えてくれます。

 

ぼくは基本的に映画は娯楽だと思って楽しんでます。興奮、感動、恐怖などさまざまな感情をゆさぶって楽しませてくれるものですが、『戦場のピアニスト』は娯楽としての映画ではまったくありません。

じゃあどんな映画なのか。ひとことで言えば「平和がいちばん!」と心の底から実感させてくれる映画です。本当に戦争のない時代に生まれてよかった・・・

 

あらすじ

1930年代後半、ポーランドワルシャワでピアニストとして活躍していたユダヤ人のウワディスワフ・シュピルマン。しかし、1939年9月、第二次世界大戦が勃発し、その生活が一変する。ナチスドイツはポーランドに侵攻し、ワルシャワは占領され、ドイツの過激な弾圧にユダヤ人の生活は悪化していく。家を追い出され、ユダヤ人専用居住区ゲットーに追いやられたユダヤ人たち。そこはつねに飢餓、迫害、死の恐怖が漂っていた。ほどなく、彼らは絶滅収容所行の列車に乗せられるが、シュピルマンだけは知り合いに助けられ、その場を逃れるが・・・

 

ユダヤ人迫害の映像は、想像以上にきつい

この映画をみるまでは、「ナチスドイツはユダヤ人を大量虐殺した」というくらいの知識しかなく、ひどいことした人たちがいたんだな程度にしかわかってませんでした。

実際に体験してない立場からすれば、教科書の文字からだけでは当時の状況は知りえないわけですが、映像としてみることで追体験できます。

この映画はBGMがほとんどないので、よりリアリティある映像になってます。

が、そのリアリティさは容赦なく心にぐさぐさと負の感情を突き立ててきます。観てるのが本当にしんどくなってくるので、2回に分けて観ました。

人が人を人として扱わない。理由もなく人を殺す。理不尽な暴力と残酷なまでの仕打ち。家族と笑うことさえ許されない。しんどい。うう、明るい映画が観たい・・・ここまで気持ちを暗く、心に重いものを落としてくる映画はそうそうあるもんじゃありません。

 

絶望だけじゃなく、救いもある

ひたすら気持ちは落ちますが、ひどい環境のなかにも救いはあります。つねに死と隣り合わせだったシュピルマンですが、ユダヤ人やポーランド人の仲間たちに助けられ、ぎりぎりのところで生き延びていきます。

 

最後は頼れる仲間もいなくなり、ぼろぼろになったワルシャワの街でドイツ兵に見つからないよう隠れながら生きるシュピルマン。しかし、ついにそこでドイツ兵に見つかってしまいます。捕まって殺される、そう思いましたが、そのドイツ兵はシュピルマンを見逃し、それだけでなくこっそり食料まで与え彼を救いました。

 

悪者だらけだと思っていたドイツ人のなかにも、良識ある人はいたんだとわかります。シュピルマンが出会った人がもし違うドイツ兵だったら、死んでいたかもしれません。

 

その後、ソ連軍にドイツは敗退し、のちにシュピルマンが隠れていた家にやってきたポーランド兵に助けられ、彼の長い逃亡生活は終わります。ちゃんと救いがあってよかった・・・ほんとうに。

 

だれしも一度はみるべき映画

映画の内容は観てて本当につらいシーンが多いんですけど、戦争を知らない人に伝えるにはこれくらいリアルにしないといけないなとも思います。戦争はよくないと分かっていても、実際に経験してないぼくらはその意味を深く理解することはできません。だから、少しでも理解するために『戦場のピアニスト』のような映画という形で体験することは大切なんじゃないかなと。

 

今ある平和は、なによりも尊く、この平和を一瞬で奪ってしまう戦争は二度と起こしてはならない。そんな気持ちを、強く強く感じさせてくれる映画でした。