『へレディタリー/継承』この恐怖を、感じ取れるか

ヘレディタリー/継承 - 作品 - Yahoo!映画

 

グリーンブックの感想書いてから半年経ったのか・・・時の流れははやいものですね。

ご無沙汰しております。久しぶりに映画感想です。

 

全米を震撼させた」「現代ホラーの頂点」「骨の髄まで凍りつく恐怖」

高すぎる評価が恐ろしい。ホラー好きとしてずっと気になっていた作品。プライムビデオで鑑賞。ホラー映画としては長めの147分。

 

あらすじ

グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま・・・。やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする・・・。祖母に溺愛されていたチャーリーは、彼女が遺した“何か”を感じているのか、不気味な表情で虚空を見つめ、次第に異常な行動を取り始める。まるで狂ったかのように・・・。そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。“受け継いだら死ぬ” 祖母が家族に遺したものは一体何なのか?     『へレディタリー/継承』公式HPより引用

 

普通のホラー映画としてみないこと

正直、最後の最後は怖いなと思ったんですが、全体的にちょっと退屈でした。2時間は長い。期待しすぎたか・・・と最初は思ってたんですが、いろいろ納得いかないところがあったので解説・考察サイトを読んでいたら、

「ああ、そういうことか・・・めっちゃ怖い・・・こわ」

 

全米が震えた理由がわかりました。ぼくが理解しきれていないだけでした。じんわりくる恐怖感。現代ホラーの頂点とは、こういうことなのか。

 

ぼくは『呪怨』や『リング』『エクソシスト』『『悪魔のいけにえ』『IT』など、わかりやすい恐怖の対象がいる映画が好きです。その恐怖の対象がどれだけ怖いことをしてくるのか、どれだけ怖いBGMで襲ってくるのか、というビジュアルや演出によって面白さを感じています。要は雰囲気重視。ホラーの基準がそこなので、それに当てはまらないホラー映画は「うーん」と微妙な評価をしてしまっていることに『へレディタリー/継承』をみて気がつきました。

 

この映画を楽しむには、自分のホラー映画に対する価値観を変えなければいけないなと。わかりやすいホラーも良いけど、いまはホラー映画も進化しているからぼくもアップデートする必要がある。

 

血のつながりは切れない

 血のつながりというのは、どうしようもできないですよね。生まれてから死ぬまで一生変えることができない。血縁というものは先祖代々からつながっているものです。

作中では祖母、娘、孫と3代にわたる関係が描かれています。

 

タイトルの「へレディタリー(hereditary)」の意味を調べると、「遺伝の」「代々の」「親譲りの」とでてきます。

親から子へ血縁だけじゃない「なにか」が受け継がれているのが今作品。このなにかを受け継いだことによって起こる悲劇。その「なにか」自体はとくに怖いわけではないのです。

怖いのは、自分の意志でその「なにか」を受け継ぐか受け継がないかを決められないことと、「なにか」を盲信してやまない人たちがいることです。

 

 生まれたときから「なにか」のために決まっている人生。そんなの怖すぎますし悲しすぎます。ここを抑えて映画をみると初見から楽しめるでしょう。

 

 

 

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『グリーンブック』は差別問題を考えるきっかけになる

グリーンブック(字幕版)

 

ひさびさのブログ。最近は涼しかったり暑かったりで気温に振り回されますね。秋は天気が変わりやすいとはいえ、毎日気温差がはげしいと体もしんどくなります。体調には気をつけねば・・・コロナで大変な世の中ですしね。

 

さて、秋といえば映画鑑賞の秋です!プライムビデオにて2019年にアカデミー作品賞を受賞した『グリーンブック』が100円セールにはいってたので「これは観ねば!」と即購入。

 

 

テーマが重く根深い問題なのでけっこう観るのしんどいかなって思ったんですが、かなりあっさりと観れます。観終わったあとは夏のさわやかな風を感じるような気分になります。現在も続いている差別問題をよくここまでさわやかな映画にしたなあと。

 

 あらすじ

 舞台は1962年のアメリカ。天才黒人ピアニストのドクター・シャーリーは、荒っぽくすぐ手が出るが頼りがいのあるトニー・リップと<黒人旅行用のガイドブック=グリーンブック>を頼りに、差別が色濃く残るアメリカ南部へと演奏ツアーへ旅立つが・・

 

差別にもいろんな種類がある

黒人に対する差別はいろいろあるといっても、日本に住んでいるとあまり実感がありません。この映画を観て、アメリカの白人が黒人にする差別がどんなものかわかりました。

例えば、「黒人は夜に出歩いちゃいけない」という差別。夜に運転していたトニーが警察に捕まり、後ろに乗っていたシャーリーを見るなりそんなことを言い、連れていかれて監禁。そんな馬鹿な話があるのかと。

 

例えば、レストランで「黒人の方は当店で食事を召し上がることができません」という差別。黒人の人がホールスタッフで働いているのに、客として食事はできないと。どういうことなんだ・・・。責任者が言うには、黒人だからダメなのではなく、ずっと前から「そういうルールだから」の一点張り。確かにセリフからして露骨に嫌がったり悪気があって言っている感じではないなというのはなんとなくわかりましたが、それにしてもなあ・・・

 

なんだかありえないと思ってしまうけど、この映画は実話ベースなのでドクター・シャーリーが実際にうけた差別なのでしょう。

 

差別をしないことの難しさ

映画を観ていて「ひどすぎ。こんなのありえないでしょ」と思うけど、差別は人種の違いだけで起こるものじゃない。白人と白人、黒人と黒人、日本人と日本人という同じ人種のなかでも起きるものです。

差別の意識はないつもりでも、いつのまにか差別していたりすることが怖い。フラットに人を見ることは難しい。自分の中にある経験や知識から、人を無意識にラベル付けしてしまうこともある。そうなると、きちんと相手に向き合うことができなくなってしまう。それは避けたいですね。

 

 

「差別する人間」と「差別される人間」。お互いを知ることで変わっていくシャーリーとトニー。徐々に変わっていく二人の関係は見ていてとても気持ちが良かったですね。

エンディングはハッピーな終わりかたでしたので、全体的に明るい映画にはなってるので観やすくて良かったです。

 

 

 

 

『イエスタデイ』感想。ビートルズをだれも覚えていない世界で、主人公はどう生きていくのか。

プライムビデオにて鑑賞。公開当時はイギリスのシンガーソングライター、エド・シーラン本人が登場していたり、ビートルズが消えてしまった世界という奇抜な設定で話題をよんでいましたね。

 

ビートルズが好きな人はすごく楽しめる作品だと思います。もちろん知らなくても楽しめます。恋愛映画としても、音楽映画としても、ファンタジー映画としても、どこから観ても素晴らしいできだと感じました。

「あ、聞いたことある」っていう曲が多いので、ビートルズってすごいんだなと思い知らされましたね。

 

あらすじ

スーパーの店員として働きながらミュージシャンをしている青年ジャック。親友であり幼馴染のエリーに献身的に支えられながらもなかなか芽が出ず、夢をあきらめかけていた。ある日、世界規模で停電が起こり、自転車で帰宅途中だったジャックはバスにはねられ交通事故に遭い、入院してしまう。無事退院できたジャックは、退院祝いに友人たちから新しいアコースティックギターをプレゼントされる。そこでビートルズの「イエスタデイ」を聴かせると、友人たちは感動し、「その曲いつ作ったの?」と聞かれる。「ビートルズの曲だよ」と答えると、友人たちは全く知らない様子だった。

おかしいと思ったジャックは、自宅に帰りインターネットで「ビートルズ」を検索。しかしまったくヒットしない。この世からビートルズが存在しないことになっており、彼らの名曲を知っているのは自分しかいないことに気づく。ジャックは彼らの曲を使って有名になろうと思い立つが・・・

 

ビートルズの曲を使ってジャックはどうなっていくのか

 「ビートルズを知っているのが自分だけだったら」

なかなか奇抜な設定ですよね。とてもおもしろい設定です。売れないミュージシャンが世界的なバンド「ビートルズ」の曲を使って成り上がっていく。すべてが順調、、、そんなわけはなく。親友との関係、他人の曲で得る富や名声、プロデューサーの圧力など、ジャックはたくさん苦悩します。それをジャックがどう乗り越え、どんな結論を出すのかというところがこの映画のおもしろいところですね。

 

ビートルズを聴いたら、もう一度観よう

ぼくはビートルズの曲をまともに知らないので、正直「あーなんかいまいち楽しめてないな」と思いながら観てました(;'∀')劇中に出てくるそれぞれの曲をビートルズがどんな思いで作ったのかとか、歌詞の意味とかぜんっぜん分からないので、製作者のあふれるビートルズ愛を感じることができません。

 

なので、せめて劇中に出てきた曲だけでもしっかり聴きこんでからまた出直してこようと思います。

 

 

『事故物件 恐い間取り』は笑いと恐怖が見事に融合したバランスの良いホラー作品です

※ネタバレあり

 

8月28日に公開された『事故物件 恐い間取り』を映画館で観てきました。

ホラー映画は大好きなのですが、DVDで観るばかりで一度も映画館で観たことは

 なかったので、今回は良い体験になりましたね。

 

現在マンションやアパートに住んでる人は観ないほうがいい・・・と言いたいところですが、より恐怖感を味わえるので一軒家に住んでる人よりは身近に感じてきっと楽しめますよ。。。フフフ。

 

あらすじ

お笑いコンビ『ジョナサンズ』として活動している山野ヤマメは、10年経っても売れないままだったため、相方の中井に解散をつきつけられてしまう。

ピン芸人になってしまったヤマメは、ひょんなことから事故物件に住み、その様子を撮影するという仕事をもらいます。

最初は乗り気ではなかったヤマメだが、心霊現象をカメラに捉えたり、心霊体験を話していくうちに人気が出てきて、ネタのために様々な事故物件に住むことになるが・・・

 

明るさと暗さの雰囲気が絶妙

原作は「事故物件住みます芸人」こと松原タニシさん。監督は「リング」や「仄暗い水の底から」などで有名な中田秀夫さん。良作ホラーのにおいがプンプンしたので気になってたんですが、ぼくのセンサーは間違っていませんでした。

 

ホラー映画なので暗くてじっとりした雰囲気もりもりかと思いきや、有名なお笑い芸人や俳優が多数出演しており、くすっと笑えるシーンも多く、笑いと恐怖の緩急が見事でした。ラスボスの除霊シーンは怖いけどなんか笑えるという面白いことになってましたね。

 

全部で4件の事故物件がでてきますが、どれも怖かった。心霊現象が怖いのではなく、そこで起きた事件が再現されるシーンがめっちゃ怖いです。

特に2件目の老婆が無職の息子に殺されたという物件。観てるだけで痛いし怖いしかわいそうだし怖いし。

今自分が住んでる部屋でそんなことが起きていたらと考えると、ぶるっとしますね。なんだか風呂場の壁のシミが怖くなってきたな・・・

 

ホラーが苦手な人にもおすすめなエンターテインメントなホラー

観客をとにかく怖がらせようというほどホラーに偏ってない本作品。恐怖シーンを和らげてくれるクロちゃんやバービー。怖いだけじゃない、若者の精神的成長ドラマでもあるのでマイルドにみれるはずです。

でも、ちょっとあとひく寒気が残る感じは、さすが中田秀夫監督といったところなのでしょう。松原タニシさんの実体験をもとにしているというのもあるのかな。

 

暑い夏は、やっぱりホラー映画に限りますね。