『シェイプ・オブ・ウォーター』感想。愛の形は”ヒト”それぞれ

 

2018年アカデミー作品賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』を観ました。賛否両論みたいですが、個人的にはアカデミー賞取るのも納得のとても素晴らしい映画でした。観た後にどこかふわーっとした幸福感を味わえる、言葉が話せない人間と半魚人のような不思議な生物との、人種や言葉を超えた切なくも愛おしいお話です。

 

・ファンタジーな設定

・ベッドシーンや血などの性的、暴力シーンあり(日本ではR15指定)

・人とモンスターの恋愛もの

 

原題 THE SHAPE OF WATER
公開年 2017年
ジャンル 恋愛、ドラマ、ファンタジー
上映時間 119分
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
主演 サリー・ホーキンスマイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンスダグ・ジョーンズ
受賞履歴 アカデミー賞>作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞
ゴールデングローブ賞>監督賞、作曲賞
ヴェネツィア国際映画祭>金獅子賞アカデミー賞  など
興行収入 約200億円(世界)

※Box Office Mojo参考

あらすじ

政府の極秘施設で清掃員として働くイライザは、ある日施設に運び込まれてきた不思議な生き物を清掃中に見てしまう。気になったイライザは、奇妙だが魅惑的な姿に心を奪われていき、周囲の目を盗み”彼”に会いに行くようになる。幼い頃のトラウマで声が出ないイライザと、言葉を喋れない”彼”とコミュニケーションを取るのに言葉はいらなかった。次第に心を通わせていくイライザだったが、もうすぐ”彼”が実験の犠牲になってしまうことを知ってしまう。イライザは”彼”を施設から連れ出すことを決意するが・・・

シェイプ・オブ・ウォーター』の意味

タイトルは直訳すると「水の形」という意味です。そもそも水にはこれといった形はありませんが、作中ではたくさんの水を描写したシーンが出てきます。

雨水、部屋の窓につく水滴、バスの窓につく水滴、卵を茹でる水、水槽やお風呂にためてある水、天井から滴り落ちる水などなど。

水はこれといった形もなく、どこでも通り抜けるし、自由に形をかえます。人の愛もまた、人種や性別など、愛する対象によって様々な形になります。

つまり、「shape of water(水の形)」「shape of love(愛の形)」ということ。うーん良い表現だなあ・・・

音楽と映像のシンフォニー

映画を観てて、とても印象に残ったのが音楽です。どんな音楽かは僕の知識と語彙力が足りなくてうまく表現できませんが、明るくも切ないというか、こう「ほわわ~」って感じの曲がよく流れます笑 内容としては暴力的で差別的なシーンもあったりするのですが、不思議と暗い気持ちにはならなかったのは音楽の効果なのかなと。

それと、映像も印象的です。半魚人のデザインはスマートでスタイリッシュな感じで中々良い。人間と同じくらいのサイズでそこまで気持ち悪くもないし怖くもありません。

また、水を表すようにイライザの住んでるアパートの色が青色だったり、恋をしてからイライザが赤いカチューシャをつけたり、様々なシーンで色が目についてきます。監督もそれぞれ色に込めた意味があると言っているので、目に映る色がどういう意味なのかを考えながら観るのも楽しいです。

総評

障害や種族を超えた愛の形を、美しい映像と優雅な音楽で表現した『シェイプ・オブ・ウォーター』。単純にファンダジーな恋愛映画としてもよかったのですが、なんといっても愛の形は水のように人それぞれなんだから、個人の生き方も水のように多様性があるんだということを改めて気づかせてくれたことがとてもよかったです。

人間みんな人それぞれ個性があり、誰一人同じ人間はいません。色んな生き方をしてる人がいますが、それぞれの生き方の多様性を認め、尊重してあげることが大切なのだと改めて思いました。